返り血なき殺陣
2004年11月15日20:27
最近の時代劇は、殺陣のシーンで返り血を浴びない。刀身に薄っすらと血糊を伸ばすことはあっても、明らかに肩から袈裟懸けに斬られ動脈裂傷は間違いないのに、一滴の血しぶきも出ない。
惨血の雨が降るリアリティを隠そうとするのは、「残虐・残酷なシーンが青少年に悪影響を及ぼす」という理屈かららしい。
グロテクスやエロチシズムを隠し、毒にも薬にもならないような無菌状態の番組ばかりを垂れ流すことが果たして健全なのだろうか。私がテレビをほとんど見ない理由の一つは、その違和感だ。
NHK大河ドラマの「新撰組」を観て、「土方さん、かっこいい」「沖田総司かわいいー」と若い女性が壬生の詰所跡に群がっていると聞く。以前からそういう新撰組ファン層はいたようだが、かのドラマでますます増えているようだ。
一斬必殺の剣術集団というのは確かに「かっこいい」。しかし、彼らが、女性なら振るうのも難儀なまでに重い、鉄を鍛えてできた日本刀を振り下ろし、生身の人間の骨と肉を絶って返り血を浴びていたこともまた事実だ。むろん逆に倒幕志士たちも新撰組や見廻組の剣士たちを撃殺し、返り血を浴びていた。
返り血を浴びてなお、斬らねばならないことに思想に殉じるということの重みがある。
斬るや「ズバッ」という効果音を重ね、斬られた方はうめきながら蹲る。彼が横たわる地面は、まるで舗装されているかのように清潔で、平らだ。一適の血も流れない――。その描き方は、幻想的な美化に過ぎない。
土煙や汗、血しぶきや汗などに想像力の働かない“歴史ファン”に対して小言を言うなんてちとおっさんくさいなあと思いながら。しかしそんな歴史ファンを増やしたのは、そういうリアリティを社会から隠蔽しようとした人たちのせいでもあるはずだ。
エロやグロを社会から隠して無菌社会を作ろうとすれば、それらはアンダーグランド化して、ますます先鋭的、反社会的になるだろう――。と、大上段な結論を導いたのは、要は、コンビニのエロ本にビニールで封印するのやめてくれ。立ち読みできねーじゃねーか、ってことを書きたかっただけだ。
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コメント
おそらく製作コストも関係してるんでしょうね。
衣装やセットが汚れますから。
製作費が潤沢な映画では血しぶき上げてますから。
初めてのカキコです。
しかし、歩さんに私の言いたかったことを全て、数段上手く言われてしまった・・・。もっと勉強します。
ところで、たけし出演の映画「座頭市」は血がドバドバ出て凄いです。放送禁止用語連発ですし。
(座頭市の宣伝になってしまった。スイマセン)
僕も最近そんな新撰組ファンの女の子に混じって見てきちゃいました。壬生の屯所(笑
確かに返り血を浴びない殺陣には違和感を感じますね。最近の時代劇はみんなそうなってきててなんか悲しいです(別にグロいのが好きというわけではない)。今回の「新撰組!」でも他に比べたら血はドバドバ出てるのですがやっぱりブシャーッ!!ってほどは出ませんね。(って何書いてんだか・・・)
>返り血を浴びてなお、斬らねばならないことに思想に殉じるということの重みがある。
まったくその通りだと思います。
そこが幕末の世を駆けぬけた人々の美しいところだと思いますし、僕らが見習わなければならないところだと思います。
今のTVはそういうところを伝えなければならないこととして吸収し娯楽として放送しなければならないと思います。最近のTVは視聴率というまやかしを追いかけるばっかりでTVの特徴である「映像を使ってメッセージを伝える」ということを忘れています。それに加えてやれ教育に悪いで手法を制限していく。
>グロテクスやエロチシズムを隠し、毒にも薬にもならないような無菌状態の番組ばかりを垂れ流すことが果たして健全なのだろうか。
僕もまったく同感です。
よく子供がTVを真似して暴力を振るったと言って教育にたずさわる人たちや親が抗議をしますが僕はおかしいと思います。僕から言わせるとその暴力シーンの映像をみて、その子供が映像中の暴力を受けた相手が痛がっていると分からなければそりゃあ真似しちゃいますもの。そういう映像を作り上げてきたのはほかならぬ教育にたずさわる人たちや親自身です。それに彼らが子供をしっかりと教育しきれなかっただけとも言えますしね。
ということで前置きが長くはなりましたが僕にも言わしてください。「コンビニのエロ本にビニールで封印するのやめてくれ!立ち読みできねーじゃねーか!!男の楽しみを奪う気か!?」
これをもって蛇足さんへの援護射撃とさせていただきます(笑