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「旅」という名の女性誌

2005年11月14日13:12

cover.jpgこれが編集したいからという理由でJTB出版に入社したのに、とっとと新潮社に売られてしまって旧友のO君は泣いているわけだが、ライターとしての僕とも因縁浅からぬ雑誌だったので、最近はとんとご無沙汰しているとはいえ動向を気にしていた。

その名も「」という雑誌だ。

で、新潮社に移ってしばらく経っているし、最近はどんな具合なんだろう、儲かっていらっしゃるのかしらと思って何気なくホームページを開いた僕はディスプレイの前でのけぞりそうになった。

いわく、「旅」という名の女性誌。なんと由緒正しい旅行雑誌は、女性誌と化していたのだ。

「旅」は1924(大正13)年に創刊された総合旅行雑誌だ。戦中・戦後3年間こそ休刊を経したが、2004年まで通巻924号を刊行した。レイアウトも内容も激渋の、私好みの雑誌だった。

今年の5月から新潮社がリニューアル創刊したのだが、それがもう冬にはこのリニューアルだ。でもここで書きたいのは、伝統ある雑誌の編集方針を転換した新潮社を責めることではない。新潮社がそう舵取りせざるを得なくなってしまった原因、つまり雑誌業界全体を覆う不況のことだ。

雑誌業界はもう数年前から救いようのない不況時代に突入しており、小さな版元は潰れ、いくつか僕の知っている編集プロダクションも店じまいしてしまった。そんな中で唯一と言っていいほど元気なのが女性誌。新潮社「旅」が、「旅」という名の女性誌と自らうたってリニューアルしたのは何とも象徴的なのだ。

内容を女性向けにする、というだけでなく、わざわざコピーに「女性誌」と自ら名乗るのは、読者に向けてのことではなく、ひとえに広告対策だろう。

女性誌というジャンルが数ある雑誌のなかで特に元気だというのは、いま安定的な広告出稿が期待できるジャンルが女性誌しかない、ということだ。新潮社は「旅」を女性向け旅行雑誌にするだけではなく「旅」という名の「女性誌」にする必要があった。

「旅」という雑誌を存続させるために編集部が打った、おそらく最後の賭だ。魂を売るような所業だが、それでも雑誌が存続さえできればやりようはいくらでもある。このリニューアルが失敗すれば、「旅」は休刊するに違いない。

経営誌や技術誌を出しているどこぞの専門出版社が、ライフスタイル誌という奇っ怪なジャンルに手を出して女性誌を創刊したのと構造的にまったく同じだ。後がないのも、失敗する可能性が私の考えるところ大きいのも、たとえ短期的に成功を収めても長期的には失うものが大きいのも一緒。と、抵抗勢力みたいなことを書いてみる校了前のゲラ待ち時間。

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コメント

>おやぎ

ご存じのように、リニューアル・創刊したばっかりってのは出るわけで。おやぎが言うように「二号目以降がどう推移」するかですね。私が入社一年目に担当した雑誌も創刊号は爆発して「おお!」となったけど二号目に落ちてあとは部数減のスパイラルに…。

創刊特別価格とか、創刊号付録とかのカンフル剤が切れて、イメージ広告の効果が薄れて中身まで露呈して、さて売れるか、という時点で勝負ですな。もちろん応援してるんですよ。ちなみに、ごめん。差し障りがあるので雑誌名をイニシャルに変えてしまいました。

by 蛇足@管理人(2005年11月15日 11:43)

弊店では『旅』リニューアル号たいへん好調でした(もちろんRS~もw)。二号目以降がどう推移していきますか注目しております。個人的には、むし社の『月刊むし』など大好きで応援しております(笑)

by おやぎ(2005年11月15日 00:22)

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