戦艦大和関連文献(1)
2005年11月20日14:52
前間孝則「戦艦大和誕生」(講談社・プラスアルファ文庫、上下巻それぞれ978円、蛇足の勝手お勧め度:★★★☆☆)
「大和」起工前から日本海軍の建艦技術の発達を追い、その水準や課題を説いた上で、世界最大の戦艦がいかにして建造されたのかを詳細に解き明かす。戦艦大和建造の現場を指揮した西島亮二技術大佐を主人公としており、西島伝としても読める。元技術者(著者の前間氏は元・石川島播磨重工業の技術者)らしい正確を期した精緻でドライな文体は好みが分かれるところだが、個人的にはもう少し技術者たちの懊悩などウェットな部分をじっくり読みたかった。
平間洋一「戦艦大和」(講談社・選書メチエ、1680円、蛇足の勝手お勧め度:★★☆☆☆)
戦艦大和の建造と、沈没までの軌跡をさらりと通して読むには最適な一冊。引用・参考文献が詳細にリスト化されているから、調査のいい足がかりになる。反面、オリジナリティはないので、「大和」の概要をすでに知っている人は読む必要は特にない。
御田重宝「戦艦『大和』の建造」(講談社・文庫、560円、蛇足の勝手お勧め度:★★★★☆)
「大和」については群書ある。その大半は、竣工してから沈没までの「大和」の軌跡を追うドキュメントであり、「大和」を建造する部分については、文書・図面が焼却処分されたこともあって、ほとんど書かれていない。それでもわずかに、艦政本部にいた「設計」畑の人たちの証言や書籍があるが、この本はさらに珍しく、「設計」の指示の下に実際に船体を建造した「現場」の人たちの働きぶりを描いている。
どれだけ先鋭的な設計図面を描いても、それを実際に造り上げるモノ作りの現場の人たちがなければ船は浮かばない。いわゆる「職人」たちは戦後、ほとんど口を閉ざしてしまったから、東大工学部出身エリートたちが集った「設計」の声ばかり高く、現場の技術力が検証・評価されることは少なかった。口数の少ない職人たちから証言を引き出した呉出身の著者ならではの力作。
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