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台湾好吃(1)鼎泰豐の小龍包

2006年01月22日17:46

嫁と友人(男)と3人で台湾に行ってきた。海外旅行が嫌いな俺がだ。で、何をしてきたかと言えば、ひたすら食ってきた。何を食ってきたかを書く。それ以外書くことがないからだ。

14日の早朝に自宅(神奈川県)を出て、その日の午後3時には圓山大飯店(台北市)のベッドに足を投げ出して何を食いに行くか相談しているのだからやはり台湾は近い。シャトルバスでMRT(台北市内を走る地下鉄)圓山站(駅)へ。古亭站まで所要時間は10分少々だろうか。下車したらタクシーで永康街へ向かう。

鼎泰豐の小龍包

永康街の入り口、大通り(信義路)に面したところに台北屈指のレストラン「鼎泰豐」がある。ニューヨークタイムズ紙が選んだ世界の十大レストランの一つだとか色々御託はあるのだが、まあそれについて興味があればグーグル先生にでも聞いてくれ。時間帯によっては鼎泰豐の小龍包食いたさに、地元客、観光客が信義路二段に大蛇のごとき行列を成すのだが、午後4時前という時間帯が幸いしてすんなりと店の中に通された。

空調の利いた店内は清潔そのもの。日本語でも用意されているメニューを眺めて、小龍包、蒸し餃子、ワンタンスープ、青菜炒を注文した。ここで注意したいのは、「鼎泰豐」では、特に蒸しものは一気に注文してはいけないということだ。何しろ出てくるスピードが速いし、蒸籠に入ったまま供される小龍包や蒸し餃子は、刻一刻と空気に触れ、蒸気とともに温度を下げていく。熱さも旨さのうちである小龍包を、大人数だからと言って調子に乗って5籠も頼んで、最後の2籠など食べる前にすっかり冷めてしまったなどという悲劇がそこここのテーブルで日々繰り返されている。小龍包は、供されてすぐに手を付け、3分以内で食べるべきだ。それができないのなら頼むことなどやめてしまえ。

さあ出てきた小龍包。まあお先に、いやいやそちらこそどうぞ、なんて譲り合っている場合ではない。全員一斉に箸を蒸籠につっこむべきだ。何しろ3分以内で食わなくてはならず3人で10個を3分以内で食べるには1個に1分しかかけられない計算になるし、3分以内は許せるというだけの話で、供されて1分以内に食べたものが2分経過して食べたものより旨いのは自明の理だ。箸で小龍包の頂点、皮の襞(ひだ)が集まるところを軽く摘んで、レンゲに乗せる。ああ、愛しい小龍包。箸で摘まれて先端(これを勝手に小龍包の「頭部」と呼ぶ)が尖って、重力に抗えない下部(同じく勝手に「腹部」と呼ぶ)が、具とスープをたっぷりと宿していることを誇るかのようにぷっくり膨れていて、まるでダイキン工業のイメージキャラクター「ぴちょんくん」みたいだ。

小龍包をレンゲまで箸で持ち上げる際に、皮を破いてスープをこぼしてしまうなどという大失態をしてしまったらそれはもう顰蹙ものだ。同席者はもちろん、周囲のテーブルに座っている見知らぬ客たちからも眉を顰められ、陰口を叩かれ、嘲笑され、子供には泣かれるだろう。こぼしてしまったものが小龍包の旨みのすべてと言ってもいいものだからだ。急げばいいというものではない。

ぴちょんくんを容赦なくレンゲから口中に放り込む。「腹部」を歯で食い破った瞬間に、その腹膜の向こうから、熱いスープがどっとあふれ出てくる。熱さに驚くが、次の瞬間に濃厚なスープの旨みが味蕾を包み込み、豚肉の香りが鼻に抜ける。「頭部」の皮のほのかな炭水化物の甘み、肉の食感、そしてスープの旨み。ああ、その三重奏に、目を瞑りたいような心持ちになる。魂が冥府に迷いあくがれたゆたふ思いすらする。なぜかくも旨いのか小龍包。思えば1年ぶりの再会、また台湾に来たのだと実感する。とにかく旨い。

テーブルには、刻んだ生姜が小皿に盛られている。ここに醤油を少々、香醋(黒酢)をやや多めにかけておき、それを一つまみをレンゲに乗せておく。そこに小龍包を乗っけて一緒に食べる、というのがお店ご推薦の食べ方だ。しかし俺はあまりこの方法で食べない。多めに注文して、スープの味と脂に舌が包み込まれてしまった時などに、日本の寿司屋でガリを摘むように口に含むことはあるが、小龍包と一緒に食べることはほとんどない。何だかスープの旨みが濁るような気がしてもったいないように思えるからだ。嫁と友人Tはお店推薦の方法がやはり旨いと言う。

10個入りで170元。1元=3.8円くらいのレートなので600円少々か。台湾ではかなり高級な店に分類される。でも1個60円で、魂が三千世界を駆け抜け、永劫の辛苦から解放され、冥府の鬼にすら相まみえる思いができるのだから安いものだ。ああ、旨かった。

小龍包のことで頭が一杯になっていたので、ほかに注文したもののことを忘れていた。蒸し餃子、ワンタンスープなどはまあ普通に旨い。しかしまあ、小龍包の感動には及ばない。追加で注文した炒飯が薄味で旨かった。

この日は夜は士林の夜市(ナイトマーケット)にお出かけし、そこで屋台のB級グルメを楽しむ予定だったのだが、嫁もTも疲れたと言って早々にホテルに帰って寝てしまったため断念。夕食代わりに35元(安い!)で購入した乾燥マンゴーを食べて就寝。

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