セーラー万年筆
2006年05月28日01:34/コメント (0) /トラックバック (0)
「なんじゃ、これは」。久五郎は思わず呻いた。紙の上を面白いようにペンが走る。
「ファウンテンペンというもんじゃ。珍しかろう」
万年筆、と今日では呼ばれている。明治末期、殆どの日本人がインクを都度付けずに文字が書けるというそのペンについて想像もできない時代である。久五郎は書き心地にほとんど陶酔した。筆圧を強めても文字が潰れることがないから、毛髪よりも速記に向いている。
両城の階段住宅
2006年05月26日17:23/コメント (2) /トラックバック (0)
海田市駅で山陽本線と分かれたJR呉線は、単線、進路を南に取る。呉の町に入るために、直角に近い角度でぐいと東に曲がり、短い隧道を抜けると川原石という小さな駅がある。この駅の前後、左手の車窓には断崖が見える。灰ヶ峰が呉を守る北の要害とすれば、この断崖が東のそれになる。
車窓から首を出すようにしてこの絶壁を見上げると、その上部にへばり付くように住宅が並んでいるのが見て取れる。







