Sponsored Link

セーラー万年筆

2006年05月28日01:34/コメント (0) /トラックバック (0)

「なんじゃ、これは」。久五郎は思わず呻いた。紙の上を面白いようにペンが走る。

「ファウンテンペンというもんじゃ。珍しかろう」

万年筆、と今日では呼ばれている。明治末期、殆どの日本人がインクを都度付けずに文字が書けるというそのペンについて想像もできない時代である。久五郎は書き心地にほとんど陶酔した。筆圧を強めても文字が潰れることがないから、毛髪よりも速記に向いている。

「セーラー万年筆」の続きを読む...

両城の階段住宅

2006年05月26日17:23/コメント (2) /トラックバック (0)

海田市駅で山陽本線と分かれたJR呉線は、単線、進路を南に取る。呉の町に入るために、直角に近い角度でぐいと東に曲がり、短い隧道を抜けると川原石という小さな駅がある。この駅の前後、左手の車窓には断崖が見える。灰ヶ峰が呉を守る北の要害とすれば、この断崖が東のそれになる。

車窓から首を出すようにしてこの絶壁を見上げると、その上部にへばり付くように住宅が並んでいるのが見て取れる。

「両城の階段住宅」の続きを読む...

灰ヶ峰

2006年05月25日18:49/コメント (0) /トラックバック (0)

呉には、灰ヶ峰という山がある。

標高は700メートル余りというから、さほど高くはない。しかし急峻である。

この山の頂から呉市内を見下ろすと、その特異な地勢がよく分かる。三方を山に囲まれ、南方だけが海に面している。その海も、瀬戸内海というおおきな内海のなかでも、大小の島や岬に囲まれて、守られている。いわば、内海のなかの内海だ。

「灰ヶ峰」の続きを読む...

「墓標の海」に関する最近の記事
ジャンル別
食 旅 社会 書評 音楽 創作 日常 歴史
特別連載中
戦前には海軍工廠が置かれ、重工業技術が集積した町「呉」。戦艦大和を生み出した“企業城下町”の痕跡を訪ねて歩く。(2006年5月25日連載開始)
過去の記事(月別アーカイブ)
検索
Creative Commons License
「ひとりじょうご」の複写、転載については Creative Commons Licenseに従ってください。
This weblog is licensed under a Creative Commons License.
Creative Commons License
Powered by